お墓・供養
改葬(墓じまい)の手続き、承継者のいらない供養方法、費用の目安を、墓地埋葬法や公的資料にもとづいて整理します。
お墓を引っ越す「改葬」の手続き
一般的に、いま埋葬・納骨されているご遺骨を別のお墓や納骨先へ移すこと(お墓の引っ越し)を「改葬」といい、「墓地、埋葬等に関する法律」(墓埋法)に基づく手続きが必要とされています。同法第2条第3項では、改葬とは「埋葬した死体を他の墳墓に移し、又は埋蔵し、若しくは収蔵した焼骨を、他の墳墓又は納骨堂に移すこと」と定義されているとされています。また同法第5条では、改葬を行うには市町村長(特別区の区長を含む)の許可を受けなければならないとされています。一般的な流れは、次の3ステップとされています。
- 移す先(新しい墓地・納骨堂等)を決め、受入証明書などを用意する
- いま遺骨がある墓地・霊園の管理者から、埋蔵(収蔵)の事実を証明する書類を受ける
- 現在の墓地がある市区町村の窓口で「改葬許可申請」を行い、「改葬許可証」の交付を受けたうえで遺骨を移す
申請書の様式・添付書類・手数料の有無は市区町村によって異なります。実際の手順は、現在お墓がある市区町村の窓口および墓地・霊園の管理者にご確認ください。出典:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」/e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第2条第3項・第5条
「墓じまい」は増えているのか
一般的に、承継者(お墓を継ぐ人)の不在や遠方転居などを背景に、既存のお墓を撤去して更地に戻し、遺骨を別の形で供養する「墓じまい」(改葬を伴うことが多い)が近年増えているといわれています。改葬の件数は厚生労働省の「衛生行政報告例」で毎年度集計されており、令和4年度は151,076件、令和5年度は166,886件と報告されています。近年は増加傾向にあるとされています。
出典:厚生労働省「衛生行政報告例」。数値は準一次資料からの集計値で、e-Stat(政府統計の総合窓口)の原統計表での最終確認は現時点で実施していません。件数の厳密な数値・集計範囲は、e-Statの当該統計表でご確認ください。
海や山への「散骨」は認められているのか
厚生労働省は令和3年(2021年)3月、散骨事業者向けに「散骨に関するガイドライン」を公表し、焼骨を粉状にすることや、自然環境・関係者への配慮、書面契約の締結等を求めています。一部の地方公共団体では散骨を規制・制限する条例があるため、散骨を予定する場所の自治体の条例、および依頼する事業者の契約内容・実施方法を、事前に必ずご確認ください。
出典:厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」令和3年3月/散骨を規制する条例の状況は、一般財団法人地方自治研究機構によるまとめ資料(準公的機関のまとめ資料)
承継者に頼らない供養の広がり
一般的に、お墓を継ぐ人(承継者)がいなくても選べる供養の方法として、墓石の代わりに樹木や草花を墓標とする樹木葬、屋内の施設に遺骨を収蔵する納骨堂、霊園・寺院が承継者に代わって供養・管理を続ける永代供養(合祀)、海や山への散骨、遺骨の一部を自宅で保管する手元供養などがあるとされています。民間調査(株式会社鎌倉新書「第16回お墓の消費者全国実態調査」2025年)では、こうした承継者を必要としない供養方法を選んだ人が約6割に上るという結果が報告されています。
出典:株式会社鎌倉新書「第16回お墓の消費者全国実態調査」(2025年)〔民間アンケート調査〕/この数値は公的統計ではなく、調査対象・時期・設問設計により結果は異なります。
お墓・納骨堂の費用相場(民間調査)
お墓・供養にかかる費用は、形式・地域・霊園や寺院によって大きく異なります。下記は民間企業(株式会社鎌倉新書)によるアンケート調査の平均額であり、公的統計(全国一律の公定価格)ではありません。実際の費用は霊園・寺院・地域・区画の広さ等により大きく変わるため、あくまで目安としてご覧ください。
出典:株式会社鎌倉新書「第16回お墓の消費者全国実態調査」(2025年、n非公表)〔民間アンケート調査〕。同調査では樹木葬を選んだ人が最も多い(48.5%)と報告されています。
永代供養・散骨・手元供養・墓じまいの費用
永代供養(合祀)、散骨、手元供養、墓じまい(既存墓の撤去・改葬)にかかる費用は、依頼先の霊園・寺院・事業者や、遺骨の量、墓石の大きさ、立地、供養の形式などによって大きく異なるとされています。当サービスで確認できる範囲では、これらについて公的な全国相場データは確認できませんでした。実際の費用は、依頼を検討している霊園・寺院・散骨事業者・石材店等に見積もりを取り、複数社を比較したうえでご確認ください。
「お墓・供養の希望書」に法的な効力はあるか
一般的に、ご自身の供養方法や既存のお墓の扱い、法要や連絡先などの希望を書き記した書面(申し送り書)は、ご本人の希望をご家族に伝えるための意思表明という性質のものとされ、遺言のような法律上の拘束力を一律に持つものではないとされています。改葬には市町村長の許可が、散骨には自治体条例・事業者の実施方法による制約があるため、書面に希望を記していても、実際の実施可否は自治体・事業者・寺院・霊園等の手続きや規約に沿って確認する必要があるとされています。ご家族が迷わないよう、希望とあわせて連絡先や費用の出所を記しておくことが、実務上役立つとされています。
出典:改葬許可の法的枠組みはe-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」第5条/制度概要は厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」
※このガイドは制度・費用・手続きに関する一般的な情報のご案内であり、個別の法律相談・医療判断・契約可否を判断するものではありません。最終的なご判断は、専門家・関係機関に直接ご確認ください。掲載情報は出典記載の確認時点のものです。
当サービスは供養方法・宗教儀礼の当否や、改葬・散骨等の法的な実施可否を判断するものではなく、制度・手続きの情報をご案内するものです。個別の実施可否は、自治体・事業者・寺院・霊園等にご確認ください。ご入力いただく内容(お墓・供養に関するご希望)は、書面(申し送り書)の作成・保存のためにのみ利用し、ご本人の確認なく第三者へ共有することはありません。
この記事の出典
- 厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律の概要」www.mhlw.go.jp
- e-Gov法令検索「墓地、埋葬等に関する法律」laws.e-gov.go.jp
- 政府統計の総合窓口 e-Stat(改葬に関する統計)www.e-stat.go.jp
- 厚生労働省「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」令和3年3月www.mhlw.go.jp
- 一般財団法人地方自治研究機構(散骨を規制する条例の状況)www.rilg.or.jp
- 株式会社鎌倉新書「第16回お墓の消費者全国実態調査(2025年)」(民間アンケート調査・参考情報)www.kamakura-net.co.jp
